シルエットはジェンダーを超えた?【14-15AWトレンド4】

2014.05.04

来シーズンの“a la mode”は何か。14-15AWパリコレクションを振り返り、歴史的背景も踏まえ次にやってくるトレンドを読み解く。今回は拡大し続けるシルエット。

ココ・シャネルの頃から、女性達は男性の服をワードローブに加えていた。その変遷はユニセックス、アンドロジナス、ジェンダーレスというキーワードとなり、ファッションを活性化させた。映画『アニーホール』でダイアン・キートンは、だぼだぼの男性服を着て登場し新鮮な驚きを与えた。男性の大きな服をそのまま着る発想は、オーバーサイズの服を生み出した。

デザイナーが女性像を描く時、オーバーサイズとロング&リーンのシルエットは違う個性の女性を表す手段に使われてきた。14-15AWの傾向として浮上したのが、両方のシルエットを混在させるブランドの登場だ。とはいえ、クチュール系のメゾンは、着る人のサイズに合った服作りが基だからか、ボディに寄り添うシルエットを中心に展開している。プレタ系メゾンにとってオーバーサイズのシルエットは、今や定番となり、更にこのシーズンのようにロング&リーンシルエットと混在させることで、ビヨンド・ジェンダー(男女差を越えて)を表現しているのだろう。

詳細は写真キャプションに付記。写真は順に
セリーヌCELINE)」
ドリス ヴァン ノッテンDRIES VAN NOTEN)」
エルメス(HERMES)」
ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」
ミュウミュウMiu Miu)」
クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)」
サカイsacai)」

次はジッパーとスニーカー
Yuri Yokoi
  • セリーヌ。基本的にはボディを優しく包むリラックス感のあるシルエットを好むフィービーが、ボディーにフィットしたニットのセットアップやコートを発表。ジェンダーレスな雰囲気は健在
  • ドリス ヴァン ノッテン。新しいフェミニティを模索して辿り着いたドロップショルダーのオーバーサイズのシルエットと、スレンダーなシルエットを共存させることで、女性性を際立たせるドリスのセンスが光る
  • ドリス ヴァン ノッテン。新しいフェミニティを模索して辿り着いたドロップショルダーのオーバーサイズのシルエットと、スレンダーなシルエットを共存させることで、女性性を際立たせるドリスのセンスが光る
  • エルメス。素材のクオリティー、職人技によりシルエットを探求すると、絶妙なオーバーサイズのコート、ドレスとしても着られるようなコートが誕生する。完成度は女性をスマートにする
  • エルメス。素材のクオリティー、職人技によりシルエットを探求すると、絶妙なオーバーサイズのコート、ドレスとしても着られるようなコートが誕生する。完成度は女性をスマートにする
  • ヨウジヤマモト。バルーンのようなオーバーサイズのコートでボディを覆い隠し、女性らしさを打ち消しても女性のエレガンスが立ち上がるのが、ヨウジのビッグシルエットの原点といえる
  • ミュウミュウ。彼のアウトドア用ジャケットを拝借すると、そのボリューム感に新しいシルエットが生まれる。肩にポイントを置いたベストは、着こなしのスパイスとして活用する
  • クリストフ・ルメール。オーガニックな自然派と形容したいルメールのコレクションは、必然的にリラックスしたオーバーサイズの服を展開している。ライフスタイルが醸し出すシルエットと言える
  • サカイ。あれも着たい、これも着たい、女心が暴走するとビッグシルエットに?サカイの服はそうした女性の気持ちに寄り添うとこから始まるので、最終的にはチャーミングな女性に仕上がってくる
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