丸山敬太×坂部三樹郎×岩田翔トークショー。それぞれの世代から見るファッション観

2014.04.01

伊勢丹新宿店館2階「TOKYO解放区」では、3月19日から31日まで、“カワイイだけじゃないもう一つの東京の顔”をコンセプトに、シンプルで洗練された「ミニマル」な美しさを持つ、今のTOKYOらしいブランドをそろえ、ニューカマーブランドを中心に最旬ルックを提案した。

同企画に参加したブランドの一つ「ティート(tiit)」のデザイナー岩田翔
が、先輩デザイナーである「ミキオサカベMIKIOSAKABE)」の坂部三樹郎、「ケイタマルヤマKEITA MARUYAMA)」の丸山敬太を招いたトークショーが29日同店で開かれた。

ちょうど10歳ずつ年齢差があるという3人は、“世代を超えたファッション観”をテーマにトークを展開。デザイナー同士のファッションに対する辛辣な声も聞かれた。

現代はアパレル産業の著しい停滞により若手デザイナーの境遇を哀れむ声が多いことを受け、丸山氏は「日本はまだまだ世界的に見て洋服に情熱がある国。ただ、世の中に楽しいことが増えすぎて、選択肢が多くなっていることが問題」とコメント。坂部氏は「情報が多すぎるが、ネット上で見るのと手に取って体感するのは全く違う。ファッションで心を満たすことはとても大事」と話し、岩田氏も「今の世の中は色がない。生身のものの温度感が伝わらない。それがファッションで出来たらいいなと思っている」と述べた。

そして丸山氏は「アパレル」と「ファッション」の違いについても言及。「“アパレル”は百貨店やアパレル産業のことを指し、“ファッション”は人が生み出すもの。日本では前者を“ファッション”だと思っている。洋服は着て心を満たすものであり、“用を足す”ものはファストファッションでそろう。自分は心を満たす服を作りたい」と語った。

若手が海外を目指すことについては、丸山・坂部共に「慎重にいくべき」と声をそろえる。グローバルな視野で海外へというのでなく、もっとビジネス的な観点を持って臨むべきもので、世界基準の服はまずサイジングも難しく、戦略を持つことが大事だという。

会場からの「服をもっと身近なものにするという意味で、パーソナルな服の提案としてオーダーメイドの服が増えればいいのでは」という質問には、岩田と丸山は「オーダーはどうしても価格が高くなってきてしまう」と述べた上で、丸山は「思い出に残る捨てられない服を作るのが僕の夢で、自分のビジネスが確立したら、社会貢献でそういったことをやってみたいという想いはある」と話した。
畑 麻衣子
  • 来場者からもファッションにまつわる質問が寄せられた
  • 今年20周年を迎えた丸山は、続けていくことで見える景色がある。これからこの仕事を続けていきたい語った
  • 坂部はファッションで心を満たすことは大事だと思うと見解を述べた
  • 今回、伊勢丹の店頭で接客もした岩田は、あらためてブランドの世界観を伝える販売員の重要性に気づかされたという
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