糸井重里×松浦弥太郎×西田善太が語る“手で書くこと”の面白さ

2013.09.04

ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」のオリジナルグッズとして2001年に誕生した「ほぼ日手帳」。2014年度版の発売開始となった9月1日から10日まで渋谷ロフトにて手で書くことをあらためて見つめ直すイベント「手で書く手帳展。」を開催している。

同イベント初日に、同店にて糸井重里×松浦弥太郎(『暮らしの手帖』編集長)×西田善太(『BRUTUS』編集長)の3名によるトークショーが開催された。

新旧、東西、有名無名問わず手書きのメモやノート、使い込まれたほぼ日手帳などが集められた「手で書く手帳展。」。糸井氏は「その人が何を書き、何を残しているのか、それを見ているだけでも面白い。だから、色んな人達が手で書いたものを集めてみたんです。今日ご一緒している松浦さんの手帳なども置いています。また横尾忠則さんの手書きのTwitterも(笑)。横尾さんは、チラシの裏にTwitterに掲載する内容を書いてからパソコンで打ち込むそうです。それをお借りして展示しています」と他ではなかなか見ることのできない、展示品のエピソードを語った。

原稿は手書きだという松浦氏は「真っ白い紙にワーッと書いてパソコンで清書する。手書きだと、例えば『あの娘が好きだ』と書く時、ちょっと恥ずかしいからと小さな文字にすることもできる。パソコン画面でドーンと出てくると気恥ずかしくなってしまうけど、手書きだとうまく照れることもできるので」と笑う。140冊以上の企画を編集長として手掛けてきた西田氏は「手書きの文字は、そこに込められた情報量が凄く多い。原稿に手書きで入れた修正を見直すと、自分の感情や気持ちまで分かりますね。ああ、俺は怒っているなとか。昔ね、コピーライターの時代に、コピーをワープロで書いていたら、上司にコピーは『手で書きなさい』と言われて。頭だけでなく体を使ってコピーを書けということなんだな、と感じたことを覚えています」と話す。自らのエピソードをもとに、感情や気持ちを素直に出せる手書きの魅力や面白さが語られた。

ロフトの手帳売り上げランキングでも9年連続1位を獲得している「ほぼ日手帳」。人気の理由について「日記や手帳、メモなど手で書くものにジャンルがあるとすれば、『ほぼ日手帳』は、そのすべてをぶっと飛ばしたものだと考えています。日記ほど自分に対して裸になる必要はなく、でもスケジュールだけをひたすら書く無味なものでもない」と糸井氏。

松浦氏も「買ってから、どうやって使おうかを考える手帳だと思う。使う用途が決まっているものよりずっと面白いと思う」と続ける。糸井氏は「使う前にどう使うべきか考える楽しい時間がある、『ほぼ日手帳』はそんな手帳なんです」と話し、トークショーは締めくくられた。

「ことしのわたしは、たのしい。」がテーマの2014年版ほぼ日手帳。文庫サイズ、A5サイズ、週間タイプ、英語版まで全4種類。手帳カバーは、荒井良司や岡本太郎、ひびのこずえと作ったアーティストシリーズ、アートディレクター秋山具義がデザインを手掛けたディズニーシリーズのほかに、ミナペルホネン、B印YOSHIDA+PORTERザ・ノース・フェイスなどとコラボレーションしたラインアップがそろう。
森有貴子
  • 左から糸井重里氏、松浦弥太郎氏、西田善太氏
  • 2014年はミナペルホネン、ザ・ノース・フェイスなどとコラボレーションしたほぼ日手帳
  • 思想家・吉本隆明の手帳
  • 漫画家・吉田戦車の手帳
  • 絵日記作家・竹浪正造の手帳
  • 野球解説者・小久保裕紀の手帳
  • グラフィックデザイナー・佐藤卓の手帳
  • 様々な著名人の手帳が並ぶ
  • 手帳展の様子
  • 手帳展の様子
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