大宮エリー―“円”になった14年の仕事歴2/2【INTERVIEW】

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新作インスタレーション「銀龍」と大宮エリーさん
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  • 新作インスタレーション「銀龍」
  • 大宮エリーの14年間を辿る「大宮エリー展」
  • 「大宮エリー展」会場には、大宮エリーの作品が集結
  • 豊富な写真や映像と共に大宮エリーの14年間の仕事を紹介
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1/2より続く。

——大宮さんの作品にはテーマとして常に「人とつながる」ということがあるように思います。

そうかもしれません。今展覧会でつくった作品は宇宙っぽくしたくて。空を見てると雲が神様の顔が見えたりしません?それが凄く面白いから「ほら、あそこに(神様が)いるよ」ってみんなに言いたくて、それを壁に描いたんです。ギザギザは雷を表していて、龍に銀紙を貼ったのは、会場が銀座だから「銀龍」というタイトルにしたんです。

——カラフルな色使いですね。

仕事で移動中に路傍の花をふと見たときに、自然界の色ってほんときれいで、「神様天才だなあ」って思って。自然にはとてもきれいで優しい気持ちになる色が多いから、パステル調の色で部屋全体を囲んだら「あー、世界はこんな色に包まれているんだ」と思ってもらえるかな、と。きれいな愛のエネルギーに包まれて癒やされてもらえたらいいなと思って。

——これまでのお仕事でターニングポイントになった思い出の作品はありますか?

一つは、会社員時代のネスカフェゴールドブレンドのCMかな。緒形拳さんに奥田瑛二さんとセリフ劇をやってもらうとなったとき、「役者にとってセリフって1回きりのものだから、何回も広告で垂れ流されるもんじゃない」って緒形さんが嫌がってらしたんです。でも、後で緒形さんに「俺の負けだ」って言われたんですよ。「やってみたら面白かった」っておっしゃって。その時「もうちょっと長いもの書いたらどうなんだ?演劇とかそういうものを」とも言われたんですよね。びっくりしたんですけど、私も照れくさかったんで、「じゃあ、書いたらやってくれるんですか、緒形さん」って言ってみたら、ニコーって笑って下さって、緒形さんが乗っていたエレベーターのドアがパン!って閉まったんですよ、コントみたいに(笑)。

「代理店の人」ではなく1人の人間として向き合ってくれてたことも嬉しかったし、「いつかそういうことがあるかもしれない」ってそのとき思ったんです。それが何年か経って本当になったときに、テレビ局でたまたまお会いして「私、演劇やったんですよ」って報告しました。その数日後に亡くなっちゃったんですよね。緒形さんと演劇できなかったのはとても残念ですけど、緒形さんの言葉は心に深く残っています。

第2のターニングポイントは、独立後につくった「海でのはなし。」という映画にもなった、バンドの「スピッツ」のプロモーションショートフィルム。宮崎あおいちゃんと西島秀俊さんと菊池凛子ちゃんが出演しています。ホームビデオみたいなので2日で撮って1日で編集したものなんですけど、ウェブで流したら、映画会社の社長から電話が掛かってきて、「映画館で流してあげる」ということになって。そしたら舞台挨拶しますよね。そこに立ったら自分の肩書きを「映画監督の」って言うしかないじゃないですか。それは人生の転機でした。その後映画のオファーを12本いただいたんですけど、自信がなくて全部断っちゃった。それで仕事が無くなっちゃったんですけど、生活していかなきゃいけないから次もし仕事が来たら絶対に受けようと決めた。そしたら13本目に来た仕事が演劇だったんです。びっくりしました。

私、キャリアを積み上げられないんですよね。映画やったら次も映画撮ってだんだん成長していくものでしょ。演劇だったからまた0からなんですよ。だから結局本物になれない感じがあって、何て言うのかな、土手を作るみたいに経験を積んで行こうとしたのに、いつのまにか「円になっちゃったよ」みたいな(笑)、(色々な分野を)「網羅しちゃったよ」みたいな(笑)。目の前の仕事を一生懸命やってるうちにそうなっちゃったんですよね。だからこれからはどうしていけばいいんだろう?って心境です。会社で7年、独立して7年、次の7年はこの展示を通じて会期が終わる28日までに考えようと思ってるんですけど……決まるか分からないけどね。

——じゃあ、今後は未定ですか?

求められると嬉しくなっちゃう性分なんですが、1個1個もっと丁寧にやりたいし、今アウトプットしすぎてるから休養しないと。“何もしたくない”と思う一方、「思いを伝えるということ展」と「生きるということ展」は一回まとめてやりたい。それをちゃんと観てもらってから個展はやめたいって思ってるんだけど。でも、また“頼まれた”とか言ってやってるかもしれないけどね。
《奥麻里奈》
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