Oh My Glasses・清川忠康CEO―眼鏡リテールの革命児1/2【INTERVIEW】

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Oh My Glasses・清川忠CEO
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眼鏡の通販という業態で、業界に参入し、売り上げを伸ばしているのが「オーマイグラス(Oh My Glasses)」。度付きの眼鏡を販売するなど、難しいと思われがちな商材をネットで販売して成功した、その秘訣はどこにあるのか、取締役CEO清川忠康氏に聞いた。

――2011年にオンラインショッピングのサイトを立ち上げてから、急成長されています。眼鏡の通販というと、雑貨として扱うサイトはあっても、御社のようにきちんと度付きのものを販売するサイトはこれまでありませんでした。なぜ今まで、できなかったのでしょうか?

眼鏡の市場規模は、4,000億円と決して小さくはありませんが、それでもアパレルと比較すると小さい。しかしその割には、販売の際に度数をどうするとか、調整をどうするとか、手間が掛かります。ネットでやろうとすれば尚更です。しかも既存の楽天やアマゾンといった大手Eコマースでも、通販のシステムは確立されているものの、眼鏡のようなアイテムを売るためにはシステムのカスタマイズが必要です。ですから、市場規模とコストを考えると、大手は参入しにくいという構造がありました。逆に言えば、ベンチャーなら参入する余地が多分にあるということです。

では、眼鏡の業界側でネット販売の動きがないかというと、眼鏡業界はICT化が非常に遅れており、その発想はありません。しかもイノベーションのジレンマみたいなところがあります。だからこそ、そこにインターネットの知見がある我々が参入し、自分達でシステムを作ればチャンスがあると考えました。

——なるほど。でもシステムがうまくできているだけでは集客には、結びつかないのでは?

その点こそ、インターネットの力の大きさを感じたところです。そもそも眼鏡というのはロングテール商材です。何かがガーンと売れるというよりは、たくさんの種類の中から、ポツポツといろいろなものが売れていきます。反面、店舗は、個人がやっているような小規模なところも少なくありません。そうすると端的に言えば消費の動向が見えにくいというか、店の小さい棚の中で的確な商材をそろえるのが難しいんです。二代目の店主が在庫管理を未だに手書きでやっていたりして、どんな在庫を持っているかを誰も把握していないというような店舗もあります。ところが、Eコマースであれば常に何が売れているか、どういう属性の人が何を買っているかといった、様々なデータがすべて手に入ります。さらにそのデータを商品開発に生かすことができるようになってきました。

——メーカー側にしわ寄せの来る業界の構造にも違和感がありましたか?

偏りがあると感じました。眼鏡の業界は小売店の力が強く、メーカーに負担をかける構造になっています。そのため不況になって倒産するメーカーもあります。しかし利益率が高いので小売店はそんなことありません。メーカーさんや職人さんは、小売店主導でやっていると、どんどん利益率が悪くなると感じて、自分たちのハウスブランドを立ち上げたり、なんとか新しい道を探そうとしているようなところもあります。でも、そう簡単に売り上げは伸びませんし、何が売れているのかも分からず、エンドユーザーの情報も持っていない。結局、適当にいろいろなモデルを作って売れたものを増産すればいいと考えるようになってしまう。
でも、Eコマースであれば、きちんとデータが集積され、消費者の声が職人さんに届くようになり、良いものができるようになるのです。そういうサイクルも作り出せてきているという自負はあります。

——もう一つは、眼鏡の通販は、検眼やフィッティングなど、対面でしなくてはならないことが多くハードルが高いと思われたのですが、その点はいかがですか?

確かに、当初、試行錯誤をしていた時期はありました。でも今はそういう、従来の眼鏡の買い方に対して、そもそもそれってどうなの?と定義し直している時期だと思うんです。ネットで選んで、時間がある時に、近くのショップに行って度の合ったレンズを入れたっていいはずなんです。今、提携店が1,130まで増えてきたこともあり、自宅でじっくり選んでから調整は提携店で、という買い方も少しずつ浸透しています。僕らは、従来の買い方、店舗のあり方を再定義したいなと思っているんです。もしかしたら将来、店ではiPadで商品を選ぶようなことになるかもしれません、そうすれば、店には在庫リスクもなくなります。

そして、そういう売り方の形を再定義すれば、眼鏡のものづくりも良くなると思います。というのも、今の眼鏡は小売店で売ることを前提に作られている。もっと突っ込んで言えば、眼鏡業界では、検眼やフレームの調整が小売店の存在意義であって、その影響力が強いわけですから、メーカーは自分達が取引のある小売店の特徴に応じて、調整しやすいものを作る傾向になっているんです。だから調整のできない小売店向けには、調整の必要のないものを作るわけです。業界内で「お客様」と言えばそれは小売店のことであって、エンドユーザーのほうを向いて仕事をしている人があまりにも少ないことに驚きました。

——それでは売れるものは生まれませんね。

ええ。だからもっと良い商品を開発しようと思ったら、オーマイグラスのやり方に沿った作り方をしていかなくてはいけないと思います。ユーザーが欲しがっている商品作りをして、ラインアップをそろえて、それをちゃんと作り手に伝えてあげる。そして作り手がきちっとフィードバックを受けて改善すれば、商品も良くなっていく。それに、眼鏡の生産過程は分業制で非効率な部分が多い。だから値段も高くなるんですが、僕らから見れば、効率化すれば、もっと値段は下げられると感じるのです。そこで、こうしたら効率的になる、と思われる部分に、僕らが首を突っ込んで、商品開発までやっていこうと思っています。

——メーカーさんにとっては、そこまで言われるという経験は今までなかったということですか?

ないでしょうね。バイイングは、これイケそう、カッコいいと感覚的に行われていますが、僕らはそういうことはしません。売り上げデータを元に生産を考えるのです。ファッション業界では珍しいでしょうね。ファッション業界では感覚的に話す方も多いと思います。それは重要だと思うんですが、僕らはそこで勝負しちゃいけないとも考えています。

2/2へ続く。本日8月2日20時アップ予定。
《飯塚りえ》
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