キンフォーク編集長ネイサン・ウィリアムスvol.1/2―急成長の雑誌の秘密【INTERVIEW】

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Kinfolk日本版「キンフォークマガジン・ジャパン」
  • Kinfolk日本版「キンフォークマガジン・ジャパン」
  • 米Kinfolk編集長のネイサン・ウィリアムス
2011年の創刊以来、「スモールギャザリング(small gathering、小さな集い) 」というコンセプトによるライフスタイルを提案し、日本でも完売店が続出するほどファンが多いライフスタイル雑誌『キンフォーク(Kinfolk)』。

この度、6月4日の日本語版の発行にあたって来日した編集長のネイサン・ウィリアムス(Nathan Williams)に、人気の秘密やこれからの展開などについて聞いた。


——初来日で、日本のファンに会われてどうでしたか?

皆、温かく歓迎してくれて嬉しかった。ポートランドで細々と作っている雑誌なのに、遠く離れた日本で多くの人に手に取ってもらえているということだけでもすごいことだと思う。キンフォークは当初、読者の反応を見るためにオンラインでスタートした。その後、関係者に配布するために250部だけ刷り、3,000部に増えて、最新号は5万部を発行した。

——飛躍的な成長ですね。日本版以外にも発行が決まったとか。

韓国語版とロシア語版の発行を控えている。これは先方からオファーがあったんだけど、日本語版については発行の経緯が少し違うんだ。

——というと?

英語版は、30ヶ国以上で販売されていて、中でも米国、カナダ、タイ、イギリス、オーストラリア、日本で売れ行きが好調。中でも特に、昨年来の日本の売り上げの伸びは興味深いものだった。それで日本語版を出してみないか、とこちらから出版社に連絡を取ったんだ。

日本人の、伝統や家族、日常の食事といったものを大切にする気持ち、それはキンフォークのコンセプトと共通するものがあるし、丹精込めて作られたものを愛でる気持ちや、素材に対するこだわり、機能的に優れたモノを作り出せる技術を大切にしていることにも共感できる。だから、日本版の存在はオリジナルのキンフォークにも広がりを与えるはずだと確信したんだ。

——では、待望の日本版だったのですね。

日本語になったことで、これまで高い関税を払って英語版を買ってくれていた日本の読者に一層手軽にキンフォークを手に取ってもらえるようになると思う。日本版の制作も、基本的にはオリジナル版と同じスタッフが手掛けている。

でも、日本語版にだけのコンテンツであるブックインブックの制作や日本語の文字組みには専門のスタッフが必要。写真やデザインについて本国のものと同じクオリティーを保つためにもとても気をつかった。

——最新号は日本特集ですね。どのように手掛けたのですか?

日本特集は前からやりたいと思っていたこと。だけど日本に人脈がなかったので、知り合いの日本人に頼んで、日本在住のライターや編集者からの情報を集めてもらいながら作っていったという感じ。ちなみに、アイスクリームを特集した前号から日本語版を予定していたんだけど、時期がずれてしまって。日本語版発行と日本特集が重なったのは偶然なんだ。

——あっという間に部数を伸ばし、海外版まで発行されるようになったのはどうしてでしょう?

うーーーん、どうしてだろう……。僕は大学では経済を学び、卒業後は金融機関で働いていた。だから最初から出版について経験があったわけでも、確固たるビジネスモデルがあったわけでも、戦略があったわけでもない。ただ、自分達のライフスタイル、つまり一緒に食事を作って、人々を楽しませて、シンプルに時間を過ごす、そういうライフスタイルを皆とシェアしたい、そのための雑誌を作ろうと考えただけなんだ。

クリエーティブな仕事、例えばフォトグラファーやグラフィックデザイナー、エディターやライターはフリーランスで仕事をしている人が少なくないけれど、実際の彼らは、僕達も含めてだけど、多くの時間をコンピューターの前で過ごしている。そういう人達にとって、キンフォークのコンセプト、自分でご飯を作って友達呼んで一緒に食べようっていうシンプルな暮らしの提案は、生活のバランスを取り戻す良い手助けになっているんじゃないだろうか。

vol.2に続く。
《飯塚りえ》
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