【SMALL TALK by Tommy】一枚の写真

2013.05.19

ふと開いた雑誌にあった、一枚の美しい写真に心惹かれる。たぶん、どこかのブランドか製品の広告。そこに写っているのは、光の中に配置された被写体と、ファインダーをのぞき、シャッターを切った撮影者によって写し取られた瞬間。

だけど実は、目には見えないもっと多くのもの…がそこに在る。
ヴィジュアルイメージやコンセプトについて指示するクリエーティブ・ディレクター、モデルたちとそのキャスティング・チーム、予備の衣装や撮影用の小物を手に駆け回るスタイリスト、そしてヘア&メイク。ロケハンや機材のリースに費やされた多くの時間。
さらに、ロケバスや食事のケータリングスタッフ。撮影許可が下りないような場所では、警官や警備員に撮影を邪魔されないよう、体を張った見張り役も必要だし。現場の雰囲気を盛り上げるために、音楽もマストだよね。

そう、そこに写ってはいないたくさんの人や時間が在って、一枚の写真が完成する…。

僕もつい最近、そんな撮影現場を体験したばかりだ。2013年9月にリリースされる、フランス生まれのブランド「マックスピッツィヨン(MAX PITTION)」再スタートのために行われた撮影。1940代、パリで誕生したアイウエア・ラインで、ジョン・メイヤーが権利を買い取り、僕らがデザインを手がけた。

ヴィンテージ感にこだわりたかったから、撮影のために選んだ車は、1963年製メルセデスベンツ・ツーリング・カブリオレ。ヴィンテージカーを扱う「カートゥーン名古屋」から、僕自身が運転して東京まで運んだ。

スタイリングはキース・ワシントン、写真撮影はジャコブ・ホッジキンソン、そしてアレックがメーキングフィルム撮影を担当。朝4時半に、僕のスタジオでモデルのヘア&メイクが始まり、5時には西新宿で撮影がスタート。早朝の“光”、すごく良かった!
ベンツがちょうどいいアングルで写るよう、何度も駐車し直さなきゃいけなかったけれど、それも楽しかったな。

その後、次のロケ場所「代々木VILLAGE」にあるミュージックバーへ。いい音楽があって、ダンスして、撮影して…最高のヴァイブ。いい感じ!

心に残る一枚の広告写真。その写真が撮られたたった一瞬のために、たくさんの人たちが費やした、たくさんの時間を想像してみて。完成した一枚の写真は、みんなの情熱の結晶。
スタッフのみんな、Thanx!
Tommy OGara
  • 1963年製メルセデスベンツ・ツーリング・カブリオレ
  • スタイリングはキース・ワシントン、写真撮影はジャコブ・ホッジキンソン
  • スタイリングはキース・ワシントン、写真撮影はジャコブ・ホッジキンソン
  • フランス生まれのブランド「MAX PITTION」(2013年9月にリリース予定)
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