【シネマモード】ドキュメンタリーでデザインに夢中!『ふたりのイームズ』

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『ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ』 -(C) 2011 Eames Office, LLC.
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おしゃれドキュメンタリーをご紹介している5月のコラム。前回の『私が靴を愛するワケ』、『ビル・カニンガム&ニューヨーク』に続き、今回ご紹介するのは、20世紀のアメリカをデザインしたと言われる伝説の夫婦の素顔に迫った『ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ』です。

イームズと言えば、思い出すのはあの有名なイームズ・チェア。1940~1960年に生まれた新しいデザインの潮流、ミッドセンチュリー・モダンを代表する家具です。実は私はこの時代が大好き。イームズ・チェアも勿論好きですが、その秘話については、ほとんど知らないままでした。本作では、生前明かされなかったチャールズとレイの素顔にフォーカスした初めてのドキュメンタリーで、あの名作誕生にどれほどの苦労があったのか、夫妻がいかにしてミッドセンチュリー・モダンの旗手になったのかなど、さまざまな秘話と彼らの創作哲学、イームズ・オフィスの裏側(そして彼らの自宅まで!)が紹介されていて大興奮。ミッドセンチュリー好きはもちろん、美しいものが好きな人、クリエイターなら絶対に見逃せない一作になっています。

ただ、デザインや創作にさほど興味がなくても、いつかは結婚したい人、結婚を考えている相手がいる人にも、断然お勧め。なぜなら、共に伝説のイームズ・オフィスを作り上げたチャールズとレイからは、夫婦関係、そしてパートナーシップのひとつのカタチが見えてくるから。彼らの作品が注目されたのは、フェミニズムが生まれるかなり前のこと。女性は男性の影に隠れ、静かに夫を支えるというのが当たり前の時代でした。そんな時代に、画家として才能に溢れる妻・レイを認め敬うチャールズの姿は、現代に生きる女の目から見てもとても素敵。イームズ・チェアが話題となりTV出演したチャールズが、「夫の創作を陰で支えた妻」として紹介されたレイについて、一緒に作品を作り上げたのだと強調する姿は、パートナーとしても、クリエイターとしても、とてもまっとうにそして美しく見えました。

本作に登場する人々の証言からも、チャールズが、レイの美意識や審美眼、特に色彩センスに信頼を寄せていたことがよく分かります。レイはごくありきたりなものの中に美を見出すことができ、彼女が触れることでものはまるで魔法をかけられたように命を吹き込まれるとの証言もありますが、イームズの作品がレイなしでは決して生まれなかったというのは良く知られたこと。時代性もあり、チャールズばかりが注目されたことも多かったと言いますが、レイはその現実を理解しながらも、傷つき、悔しい思いをしたことがあったはず。そんな彼女が決して絶望することはなく、共にチャールズと歩んでいけたのは、夫から寄せられる敬意があってこそだったのだと思うのです。

「Anything I can do she can do better(何でも彼女の方が上手くできるんだ)」。チャールズ・イームズはこんな言葉を残しているのですが、夫がいかに妻の才能を讃え、信頼していたかが分かりますよね。

男性の中には、自分より優れた女性を嫌う人もいます。それは、今の時代でもそう。妻の出世や成功に嫉妬する夫がいるという話も、かなり耳にします。男の面目の気にしてのことなのかもしれませんが、器の小ささを感じずにはいられません。気持ちに余裕がなければ、チャールズのようなことは口が裂けてもいえないでしょう。さりげない言葉のようですが、これは時代を考えればなおのこと、誰もが言えることではないのが分かるのです。

そんな夫婦の関係性があったからこそ、生み出されたイームズ・オフィスの名作たち。家具や映画、写真、玩具などにとどまらず、その他あまりに多くの作品が、時代を超えて愛され続けている理由は、彼ら自身が、時代の常識を超えて互いを尊敬し合い、本質を見つめ、美を見出すことができる人間だったからなのかもしれません。この作品が語るように、二人で作ったからこそ、よい作品になったのだと。
本作では、イームズの最高傑作は、チャールズとレイのイメージであり、彼らの生み出す
ものすべてが、幸せな二人をイメージさせていると伝えています。劇中には、二人が手を繋いでいたり、寄り添っていたり、一緒に仕事をしている写真が多く登場しますが、本当に幸せそう。ただ、現実には夫婦の危機もあったそうで、その事実を知ることは、チャールズ&レイ=おしどり夫婦をイメージするイームズファンには少し辛いことかもしれません。ここで証言されていることの何がどこまで真実なのかは、今となっては分かりませんが、それでも二人がパートナーとして最後まで、イームズ・オフィスで共に傑作の数々を生み出していったことは事実。

もし、結婚について、パートナーシップについて考えている人がいるなら、彼らの物語を参考にさせてもらうのは、決して無意味ではないはず。どんな相手に側にいて欲しいのか。その人と本当に夫婦になれるのか。起こり得る危機をさまざまなことを乗り越える覚悟があるのか。この作品は夫婦とは何かという答えを知るひとつの手掛かりになってくれることでしょう。

【シネマモード】ドキュメンタリーで デザインに夢中! 『ふたりのイームズ』

《text:June Makiguchi》
  • 『ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ』 -(C) 2011 Eames Office, LLC.
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