【PRESSブログ】“無”から想像する欲求へと

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パーフェクト・マガジン(Perfect Magazine)
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パーフェクトな雑誌に出合いました。

その名も『パーフェクト・マガジン(Perfect Magazine)』。同誌はロンドンをベースに活躍するキュレーター、マシュー・コペランド(Mathieu Copeland)がディレクター。内容はとても豪華で、ギルバート・アンド・ジョージ(Gilbert and George)やマルタン・クリード(Martin Creed)、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)、ハンス・ウーリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)、ダニエル・ビュラン(Daniel Buren)、リアム・ギリック(Liam Gillick)、オノ・ヨーコなどアーティストや批評家、ギャラリーなど約50のアクターが参加するページが並んで……いるようです。

というのも白い紙に白いインクで印字され、表紙を含めて全ページが真っ白なのです。インクの反射からかすかに各ページの内容を窺い知ることができます。白く印字された広告も入っていますし、白い写真、白いグラフィックや、ISBN番号もしっかり白くプリントされています。

雑誌として形式上成立しているのですが、内容がはっきりと見えないため、読者を遥かな空想へとかき立てます。「雑誌」について深く考えさせてくれるこの雑誌自体が、作品化していると言っても過言ではないでしょう。読者を無限の空想空間へ運んでくれるこのパーフェクトな雑誌は、この1号限りの発行です。

1958年にイヴ・クライン(Ives Klein)が何も無い空間を展示してから、建てない建築家、撮らない写真家、作品を作らない作家、ストーリーを観せない映画監督、音を出さない音楽家など、「無い」ことを創作する人達の表現は領域を様々に横断しながら、多様化してきました。

「無い」ことを表現することは、それ自体が既存の考え方に対するアンチテーゼであり、同時にあったであろうものへのロマンスを掻き立てます。なんとも複雑で魅力的なトピックです。パーフェクト・マガジンはそんなトピックを、とても上手く表現しています。

人間の想像力を膨らませる作品や、行為、状況こそ今の私たちが最も欲しているものなのではないでしょうか。人間は考えることや想像することで、自分の可能性を無限に広げ、生きていることの意味を見いだして行くのでしょう。

人間の三大欲求に匹敵するこの欲求に応えてくれる、「想像力ビジネス」みたいなものが今後出てくるとしたら……どんなものが想像できるか……そんなことを考えています。
《Maya Junqueira Shiboh》
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