【INTERVIEW】「自分を表現できるベストなメディアはファッション」Simone Rocha―DSMギンザに来日した3人vol.3/3

2013.04.12

アイルランド出身のシモーネ・ロシャSimone Rocha)。ファッションデザイナーであるジョン・ロシャ(John Rocha)を父親に持つ彼女は、セントマーティンズ卒業後すぐ、11-12AWの「ロンドンファッションウイーク・ファッションイースト(LONDON FASHION WEEK FASHION EAST)」でデビュー。また、トップショップとのコラボレーションなど、若手デザイナーとして順調にキャリアを積んでいる。今回は、13SSの厳選コレクションを、インスタレーションとともに披露してくれた。

――今シーズンのコレクションについて伺う前に、今回のインスタレーションもご自身のアイデアとか。

ロンドンと同様、あじさいやミモザ、ユーカリなどのを使っています。美しく野に咲いているというイメージを表現したくて選んだ花です。香りも、穏やかで癒やされると思います。

――今回、披露した13SSコレクションについて聞かせて下さい。

デイジーをモチーフにした、レースアイテムをそろえました。見ていただけば分かりますが、とても繊細、かつぜいたくな作りのファブリックを用いています。着た時にスペシャルな雰囲気を感じてもらえると思いますし、着心地の良さも忘れてはいません。

――今シーズンのコンセプトは?

誰しもがティーンの時代に持っているナイーブさと気ままな自由さが混在した、独特の感情にインスパイアされたノスタルジックなコレクションです。だから、例えばコットンも余計な加工を施さず、無垢な感じを出したり、色あせたようなカラーリングを取り入れています。色は特に、生の活力を感じさせ、クリーンさや爽やかさをイメージしながら、主張し過ぎないものを選んで、ピュアな雰囲気を出しています。そして、そういった純真さとは対照的な奇抜なネオンカラーを差し込むことで、“ユース”を表現しました。

――今シーズンも、スタイルはフェミニンでもハードなマテリアルを使うなど、素材やスタイルのミックスが見られましたね。

私がデザインするときには、スカートがフェミニンなら、ジャケットはボックス型のテーラードを合わせるとか、バランスを大切にしているんです。そうしたある種の緊張感を服そのものやスタイリングに加えていますね。素材についても同じように、昔からある素材と現代的な素材をミックスすることで、新しいものを生み出したいといつも思っているんです。

今シーズン、特に苦労したのは、プラスチックに刺繍を施したもの。たたむとか、縫うとかいった「布」として扱えるようにするために、開発は大変でしたが、とても革新的な素材に仕上がりました。独特のハリ感があって、シワにもなりにくく、着た時の特別感は格別ですね。

――お父様のジョンに影響を受けた部分はありますか?

元々、デザインやアートに興味があって、クリエーティブな仕事に就きたいと感じていたのは、周囲の環境も影響していたでしょう。ファッションを選んだのは、アートスクールに行って様々な表現手段を学ぶうちに、私が自分を表現できるベストなメディアはファッションだと確信したからです。面白くて、でもストーリーのある服を作りたい、そしてそれを人に着てもらって、自分のアイデアを具体化したいと思ったんですね。

――来日は今回で何回目でしょう?

16歳の頃と、DSMギンザがオープンした昨年、そして今回が3回目です。初めて来た時は、とにかくエキサイティングでした。いろいろな人がいて、服に対しては特にオープンに、何でも取り入れて、一つにこだわることがない。一方で着物などの伝統的な工芸もあり、インスピレーションの宝庫だと感じました。

――では注目している日人のデザイナーはいらっしゃいますか?

注目というより、インスパイアされたのは、コムデギャルソンやアンダーカバーですね。アートスクールにいたころ、日本のデザイナーは世界的にも注目されている時でしたし、影響は大きいと思います。だから、今ここで一緒に仕事できるのは本当に幸せですね。
飯塚りえ
  • シモーネ・ロシャ
  • シモーネ・ロシャ
  • インスタレーションはあじさいやミモザ、ユーカリなどの花でラックを挟んだ。前日夜からスタッフ総出で設置された
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