ガーリーカルチャーがアートとクロスする空間、田口まきがキュレーションする「ISETAN GIRL GALLERY」

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伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 田口まきさん
  • 作家の長井朋子さん
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
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  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
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伊勢丹新宿店が3月6日のグランドオープンで、2階「イセタンガール」の「PARK」として新たに誕生した「ISETAN GIRL GALLERY」のキュレーターとして、ガーリーカルチャーを世界に発信するプロジェクト「MIG project」を主催する田口まき氏を起用した。

展開されるのは婦人服各フロアのイベントスペースとして設けられた「PARK」の2階イーストパーク。「シアター・ワンダールーム」のコンセプトをベースに、移動式劇場のイメージで「世界中が注目するTOKYOの“旬”」を発信していくという。

今回、キュレーターとして起用された田口氏はその活動を通じて、若いアーティストやミュージシャンとの間に太いパイプを持っている。本物のアートが持つ価値を理解でき、同時に普通の女の子が共感できるガーリーな要素を併せ持つという点で、「ISETAN GIRL GALLERY」に最適な人選だったと言えるだろう。

プロジェクトの狙いについて、田口氏はこう語る。

「ISETAN GIRL GALLERYの半分は伊勢丹が主導するビジュアルプレゼンテーション(VP)スペースだが、半分は自由に表現できるギャラリースペースになっています。つまり、VPとアートを合体させた全く新しい空間。ファションビジネスとアートの中間に位置する表現を、どういう手法で具体化するか。今という時代性や女の子の世界観を表現できる特定のアーティストを毎回ピックアップしていくことにしましたが、空間づくりは簡単ではありませんでした」

あくまでも商業空間なので、アーティストにとっては表現上、いくつかの制約が課せられる。例えば、燃えやすい作品を展示することはできないし、重量のある作品を天上から吊り下げることにも制限がある。一方、伊勢丹側にもアーティストの裁量に委ねる部分がでてくる。世界観を尊重しなければ、意図する空間にはならない。田口氏の役割は、双方の理解を得ながら、自らが思い描く「女の子の大好きな世界」を形にすることだった。

田口氏が最初に声をかけたのは、長井朋子さん。2006年のトーキョーワンダーウォールにて入選し、小山登美夫ギャラリーでの個展などで着実に評価を高めている注目の若手アーティスト。自然を背景に、クマやネコ、少女がそっと佇むファンタジックな幻想空間を描く。「トーベ・ヤンソンの『ムーミン』が大好き」という長井さんの作品は、幼い頃遊んだ人形や玩具の世界に影響されているのだとか。

「私はドールハウス世代。子供の頃はシルバニアファミリーで人形遊びをしていました。芝生の上に人形を置いてじっと眺めたり、水の中に入れたりして(笑)」

田口氏は、長井さんの作品は「女の子が自然に共感できる世界」そのものだと言う。可愛く、温もりがあり、同時に儚さをも感じさせる非日常空間。加えて季節性豊かなその世界は、立ち上げタイミングとなる春のイメージにもぴったりだった。


「今回は、意識してファッションとの親和性が高くなさそうなアーティストを選びました。活動フィールドがファッションから離れている人の方が意外性があるし、今後の展開においても可能性が広がりますから。でも実際にはファッションに関心がないと、このプロジェクトに参加してもらうのは難しい。長井さんはファッションや音楽、映画など興味の幅がすごく広かったので、この人とならできると思ったのです」と田口氏。

依頼された長井さんは「是非、やらせて!」と即答。最初からこのプロジェクトに意欲的だったという。立ち上げの企画なので空間の形も決定していなかったが、「制約がある方が燃える性格(笑)」なこともあり、「ISETAN GIRL GALLERY」をひと目見たときから展示する作品のイメージが浮かんだという。

展示テーマは「かんむりこぐまと山猫座」。春の星座であるかんむり座、こぐま座、山猫座を題材にした作品を、星と絡めて展示する。小さめの作品を点在させるほか、自身が所有する玩具やぬいぐるみもディスプレイ。天上からは星形のモビールが吊り下げられる。百貨店の空間とは思えないガーリーなアート空間に、グランドオープンの初日にはさまざまな世代が、作品に見入っていた。

このほか、「パーク」内では長井さんがデザインしたストッキングとソックスが4月にも販売される予定。「せっかく作ったんだから沢山売れてほしい」と語る長井さん。ファッションビジネスとアートがクロスするこの試みにも、意欲的に取り組んでいる。 今回のプロジェクトを通して、長井さんは「普段、アートを見ない人に『わあ、可愛い!』と言わせたい」と語る。

もちろん、全体を構成する田口氏も同じ思いを抱いている。

「今は、意外性のあることや想像外のことに出会いにくくなっています。でも百貨店でこんな空間に出会ったら誰もが驚くでしょう?コンセプトは異世界への移行と新しい発見。その意味で、この空間はリアルな劇場なのです」
《編集部》
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 田口まきさん
  • 作家の長井朋子さん
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
  • 伊勢丹新宿店2階パークのガールズギャラリーで展示されている長井朋子の作品©Tomoko Nagai
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