【インタビュー(後編)】川島蓉子が中陽次伊勢丹新宿本店長に聞く―グローバルに発信していく百貨店

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中陽次伊勢丹新宿本店長
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前編は、伊勢丹新宿本店の3階モードフロアリモデルについてだったが、今回は3月6日にお目見えする第二弾のリモデルと未来の百貨店像について触れたい。

―異なった日常を提案する―

大きなポイントは、正面玄関の設えを大きく刷新すること。従来の玄関口を思い返すと、新宿通りに面しているのだが、特別な存在感を発しているというより、便利な入り口に過ぎなかったように思う。それを「そもそものオリジナルの状態を復元することにしたのです」という。今年、本店は開店80周年を迎える。そもそものルーツを辿り、良きところを見直そうという考えが根底にある。

これは、二つの観点から良いことだと思う。一つは、時代が大きな転換点を迎える中、「生業を見直す」のが重要な意味を持ってくるということだ。「昔は良かった」というのでなく、生業の本質を見極めることで、自ブランドの強みが明確になってくる。それをないがしろにして、新しいことだけを求めたり、間口を広げて総合化することに特別な意味はないと思う。

もう一つは、百貨店として、良い意味で敷居を作る必要があるということだ。不況下で多様な業態がしのぎを削る中、明らかに百貨店らしさは薄まっている。自ら敷居を下げる方向ではなく、ポジティブな方向で敷居を作ること、強みを際立たせていくことが、結果的に差別化になると思うのだ。

新たな正面玄関は、二階までの吹き抜けになり、優雅なシャンデリアが下げられ、真鍮の扉が付けられる予定だという。正統派のクラシックさ、上質な優雅さを備えながら、門戸はいつも開かれている。上等な間口の広さは、百貨店が持つべき矜持だと思う。

―未来の百貨店とは?―

中さんに未来の百貨店像について聞いたところ、「グローバル化、モード化、パーソナル化、パブリック化」という四つのキーワードが挙がった。グローバルストアという意味では、国内はもとより将来的に海外に向けて発信していくことを考えている本店の情報を届けるため「イセタンパークネット(IPn)」を設けたのだという。「一種の放送局のような役割が必要と感じていたのです。IPnでは、近い将来テレビクルーのようにカメラを持ったスタッフが毎日売り場の情報を発信することができたら面白いと思う」。

圧倒的なモードを提案しながら、顧客のパーソナルに寄った提案を行う。街やコミュニティーに向け、パブリックとして開けた存在であり続ける。「着るということに対する世界に向けた革命を起こしていきたいのです」と中さんは力を入れている。これが実現すれば、百貨店の未来は明るいに違いない。清々しい気持ちでインタビューの場を後にした。


【川島蓉子プロフィール】
1961年新潟生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。1984年伊藤忠ファッションシステム株式会社入社。ファッションから消費者や市場の動向を分析し、ブランド開発やデザイン開発を行う傍ら、読売新聞、日経MJ、繊研新聞、ブレーンなどの新聞・雑誌に執筆。主な著書に『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹・ストーリー戦略』(PHP研究所)、『社長とランチ』(ポプラ社)など。
《川島蓉子》
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