【PRESSブログ】「国」にフォーカスした「エスパス ルイ・ヴィトン東京」

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Piyali Sadhukhan Camouflaged (idea sketch), 2012
  • Piyali Sadhukhan Camouflaged (idea sketch), 2012
今回は、「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で行われているインドのアーティスト達をインド人の美術評論家がキュレーションする、「アーバン・ナレイティブス」のお話。表参道のガラス張りの空間が、特定の国をPRする、巨大なショーウインドーとなるわけです。展示は5月6日まで行われています。

パリのシャンゼリゼ店にあるエスパス クルチュレル ルイ・ヴィトンでも、一昨年前「国」に的を絞った展示を見ました。それはインドネシアのアーティストを紹介するグループ展でした。パリでも東京でも、エスパスの展示はまるで街を見渡せるガラス張りの空間から、メンタルな「旅」をしているように感じます。ルイ・ヴィトンらしい素敵なコンセプトですよね。各国の大使館の協力を仰ぎ、必ずコミッションワークがあるエスパスの展示は、店舗に客を呼び込むためというよりは、「ソーシャル」な展示へとうまく私達の意識を持って行ってくれます。

「国」にフォーカスした展示といえば、前回のヴェネチアビエンナーレで見た国別の展示に、いたく感動しました。それらはすべて、一人のアーティスト、もしくは国内の一つのイシューにフォーカスした強い展示でした。ポリティカルで、同時にどこの国の人でも共感できる、グローバルで若い視点を持った展示ばかりで、世界の縮図をそこに見ているようでした。自分を振り返って、アートには世界を変える力がないからと、政治学を志したこともありましたが、あの頃の自分は若かったなぁ、と思うようになりました。

一方で、国に的を絞った展示の難しさもあります。国のトレンドを紹介するだけの展示になってしまうと、イシューもメッセージもイメージもバラけてしまい、強さに欠けてしまいます。それは海外旅行のパンフレットを見るような、ピトレスク(絵画的)な展示です。また、国を超えて観客が共感する要素があることも重要です。そこには、人類共通の「パーソナル」な感覚が刺激される「アイデア」と、同時に「モノ」としての力も必要です。

プライベートエンティティー(民間団体)のエスパスが、どのような形で「国」にフォーカスした展示を見せてくれるのか、今後もとても楽しみです。
《Maya Junqueira Shiboh》
  • Piyali Sadhukhan Camouflaged (idea sketch), 2012

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