【編集長ブログ】モードと「ヨイトマケの唄」

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ノゾミイシグロ・オートクチュールのフィナーレ
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東京コレクションでオフステージながら、最後に見たランウェイ「ノゾミイシグロ・オートクチュール」の最後に流れたのは「ヨイトマケの唄」。ホーミー歌手の山川冬樹バンドの生演奏をバックにモデルがフィナーレを歩くシーンに、モードカルチャーとこの曲の不自然な整合性をずっと考えていたら、黒髪の美輪明宏さんが初出場の紅白歌合戦で歌うオリジナル曲がTVから流れてきて、2012年という1年が終わった。

2013年春夏シーズンのテーマで多くの東京のデザイナーが提案したのは「日本(和)」というテーマへの再確認だった。ファッションヘッドラインに寄稿していただいている多くのバイヤーやジャーナリストの方々が、ベストコレクションにあげたリトゥンアフターワーズを始め、ビューティフルピープル、ソマルタ、まとふ、アツシナカシマなどが、デザインのコンセプトやテーマをストレートに打ち出した。

これらのデザイナー以外も、ミントデザインズをはじめとした多くのブランドが日本が持つ固有の服飾文化や、国内素材メーカーの最先端技術や、高度なプリント技術、あるいは伝統工芸的な職人の技術にスポットを当てた。それは、尖閣問題、TPPを始めとした日本の国際社会での不透明な関係性に、ものづくりという立場からの各デザイナーのアティチュードが少なからず影響している。

既に数年前から海外のハイエンドなセレクトショップのバイヤーたちは、日本の伝統工芸や民芸に注目し、各地の生産地や職人の元を訪れて、積極的に“目利き”なバイイングを展開している。日本のマーケットでは難しい商品や技術が海外で評価されている例は、何もデニム生地やダメージなどの二次加工だけではない。

東コレでのデザイナーたちの「日本回帰」もメディアにとってはひとつのトレンドなのだが、リトゥンアフターワーズのクリティックな表現より、ファッション本来の楽しさであるスタイルに昇華したビューティフルピープルに、編集部若手のモードマニアたちには人気があったのが面白い。やっぱりファッションは見るだけより、買ったり、着ることの方が楽しい。

2013年もファッションヘッドラインをよろしくお願いします。
《野田達哉》
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