【東コレ評vol.04】樋口真一(ファッションジャーナリスト)「大きな変化は感じられず」

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「FASHION HEADLINE」では、2013年春夏東京コレクション評をジャーナリストやバイヤーの方々からお聞きしました。

第4回目は樋口真一さんです。

回答者:
樋口真一
ファッションジャーナリスト
パリコレクション、東京コレクションなどを取材。コレクション撮影も行う。

Q1:よかったブランドとその理由
A:
・リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)
服が無いゼロというところからスタートしコム デ ギャルソン以降の何かを作ろうとしているので。

・アンリアレイジ(ANREALAGE)
個人的には今回の作品よりも、前回までのコレクションの方が好きでしたが、メッセージとアイデア、完成度という意味ではやはり一歩リードしている感じです。

・メルシーボーク、(mercibeaucoup,)
ネ・ネットやスナオクワハラとともに、東京のファッションウィークが目指しているらしい、クリエーションと消費者に向けたアピール、実際のビジネスに結びつけるなどのすべてをメルシー祭りという形で実現していました。サンリオピューロランドを会場に使うなど、会場選びもよ かった(なお、スケジュールからネ・ネットとスナオクワハラは一部しか見ることしかできなかったため、よかったブランドには入れることができませんでした)。

・ミントデザインズ(mintdesigns)
いままでなら使わないような表現に挑戦しながら、ミントデザインズらしさを出していた

・ソマルタ(SOMARTA)
リアリティとクリエーションのバランスがよく、安定しています。KITAJIKOのプリントもよかった。

Q2:今後期待できる注目ブランドとその理由
A:
・アリス アウアア(aliceauaa)
好きと言うよりも、ファセッタズムなどと違う意味で、海外の求めるゴスロリなどを作り、実際に外国人に受けているのがおもしろい。かつてのビューティビーストや20471120のように大阪のデザイナーが停滞しているファッションウィークに刺激を与えることを期待したい。

・ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)
イヴクラインのブルーで生まれた新しさが次にどうなるのか楽しみ。

・ファセッタズム(FACETASM)
ストリートファッションの首都である東京らしい、ランウェイとストリート、ブログの境界線を無くしたようなコレクション。演出もうまい。

Q3:今季のコレクション全体の感想
A:メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京については、渋谷に拠点を移したことでどうなるのか、注目しましたが、正直大きな変化は感じられませんでした。

芸能人による認知度アップ戦略も狙いはわかりますし、ページビューなどの面で効果があったといいますが、コレクション現場を取材している限り、よくなったと いうよりも、ワイドショーやスポーツ紙、正体不明のカメラマンなどが増えたなというのが正直なところ。スタートした頃、ニューヨークコレクションの直前開催にしてまで目指していた世界のコレクションウィークになりそうな雰囲気も見えませんでした。

各ブランドはあるレベルで安定していましたが、停滞しているという見方もできるし、正直、もし、最終日のリトゥンアフターワーズがなければかなり危なかったと思います。東京コレクションというということではアンリアレイジ、ミントデザインズ、メルシーボークー、そしてシブヤファッションフェスティバルなどがよいコレクションを見せていたので、相変わらずオフスケジュールがリードしている感じでした。

Q4:東コレについて思うこと
A:
・スケジュール調整
パリコレクションは若手の入る余地が無いと言っていたはずが、実際には特定の時間に集中して回ることができなくなっている。

一方、今回の東コレのスケジュールの混乱は、一部に言われているようなデザイナーのわがままというよりも、募集当時に発表したヒカリエホールの使用料金が高く、日にちだけを決めて様子を見たからだろうが、毎回ゼロから決めるよりもパリコレクションのように、各ブランドがある程度曜日や時間を固定する方向で進めた方がいいのかも。

・若手支援
たくさんの若手デザイナーに会場だけを貸すよりも、少数の力のある人に会場だけで無く、モデルのギャラなども含めて支援した方が参加しやすいかも。また、無理矢理、日本人からではなく、ヨハンクーのように力のある外国人デザイナーも支援すべきでは。

・ベンツによる移動
日本にはセレブはいません。無理に海外から来たバイヤーや外国人に乗ってもらうよりも、カメラマンの移動などに使ってもらっては。

・芸能人の起用について
芸能人による認知度アップ戦略は当面の打開策としては有効だと思いますが、これではアジア最高峰は目指せても、パリ、ミラノ、ニューヨークに続くコレクションウィークにはなれないでしょう。それにやり方も疑問。ページビューを伸ばしたいのなら、中途半端なことはしないで、いっそのことAKB48の麻里子さま(篠田麻里子)の新ブランドにでも参加してもらっては。本人にTwitterやグーグル+、ブログに書いてもらって、メンバーがフロントロウに座ればアクセスは急増するし、翌日のワイドショーにも取り上げられるでしょう。

また、テープカットの安室奈美恵さん目当ての取材が殺到して、服を撮影したいメディアが端に追いやられたり、テープカット後出て行くカメラマンもたくさんいたような状況だったので、次回はオープニングセレモニーは別の時間にしたほうがいいかもしれません。
《編集部》

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