【COLUMN】服と空間の快適性

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「カルヴェン」「アクネ」「ケンゾー」に代表されるように、今のトレンドはポップと着易さという意味でのcomfortにあるのだろう。様々な展示会を巡っていても同様に感じる。カラーパンツのラインアップやカラータイツのバリエーション、西海岸を感じさせるサーフの要素など、ストレスフリーな素材感と仕様、色の洪水が印象に残っている。

固いイメージのあるメンズ服もソフトになった。伊勢丹メンズ館のプレス展示会で驚いたのは、カラーパンツももちろんのこと、紳士靴のラインアップだ。アッパーは本格的な革靴なのだが、ソールがウレタンやラバーを用いたカジュアル仕様。もちろん流行のコールハーン「ルナグランド」も姿を見せる。

このアトモスフィアーはそのままショップ空間にも反映されている。14日にオープンした青山の「アクネ」ではショップ空間と洋服が見事に呼応していた。その意味では成功しているインテリアだ。しかし、デザイン視点から見るとインパクトに欠けるのである。確かに異素材を散りばめた空間コラージュは上手い。ただ、それは裏を返すとスタイリングの空間構成なのである。

先日会った、イッセイミヤケやサザビーリーグの店舗設計を手掛けているインテリアデザイナーとの会話を思い出した。彼らの作風は凝りに凝ったディテールに加え、新しい商品の見せ方の提案などMDまで入り込んだデザインを行うところが特徴だ。しかし、「滅多にコンペで負けることはないのだが、最近同じ企業のコンペに2連続で負けた」という。2回とも新しいデザインを提案したが、採用されたのは安定感のあるデザインだったとのこと。今は徹底的に作り込み、新風を入れる設計者には難しい時期なのかもしれない。

ほんの2年ほど前まで服の存在感と戦おうとするかのようにショップインテリアも存在感を放ち、お互いライバルのような雰囲気で相乗効果を生んでいた。今はお互い融合するように和むような雰囲気を生んでいる。服は着回しが利き、店は居心地が良いのだが、何だか少し寂しく感じる。

《エビゾー》

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